自社内でSWOT分析の「機会意見」がバンバンでる秘訣

東京で開催された『SWOT分析スキルアップ集中研修会』での、参加者のアンケート結果を集計しました。その結果、いくつかの事が分かりました。今回のセミナーでは、大きく分けて「自社の戦略分析の為」と「コンサルティング等の付加価値の為」の2つに分類されます。SWOT分析の目的は、「経営戦略づくり」の為のツールだから、自社の為であろうが、クライアントの為であろうが、進め方や内容に大きな違いはありません。

唯一違うとすれば、「自社の戦略の為」の場合は、いかに推進者がファシリテーション技術を使っても、客観性が取りづらい事でしょう。推進者も参加者も自社の現状を良くわかっているから、ニッチ市場やニッチカテゴリーの「機会」を発見する場合、「できない理由」や「限界説」が出てくる事も致し方ありません。

自社内SWOT分析が上手くいかない理由

自社内でSWOT分析を行う場合、推進者(コーディネーター)も参加者も同じ、自社の外部環境も内部要因も十分知っている人で構成されています。いわゆる「身内」です。「身内」でSWOT分析を行う場合「脅威」「弱み」「強み」は、だいたい同じような意見になります。ここでは皆のベクトルがあっていると言えるでしょう。ところが、「機会」の検討での意見がなかなか出ないという事です。

知り過ぎている自社の市場の事ですから、SWOT分析をしたところで、今更新たな発見も意見も出にくい訳です。しかも、もし戦略的なニッチ市場やニッチカテゴリーのマーケット攻略があるなら、既に実行中でしょう。知り過ぎているからこそ、「発想の限界」に直面するのです。自社でのSWOT分析をすると、この「発想の限界」から「機会」の革新的な意見がでないので、「落としどころの戦術的な意見」で、まあ何とか落ち着いた、という感じの結論になりがちです。

自社内SWOT分析の「機会のヒント」は以前議論した事が多い

「発想の限界」は、業界や自社固有事情の「固定概念」に起因しています。また、「機会分析」に、あまりに革新的な意見を求めすぎかも知れません。元来、SWOT分析の「機会分析」で、誰も気づかなかった斬新な意見が出るはずもありません。むしろ、「以前からそういう考えと発想はあったが、果たして自社がやって上手くいくものかどうか」と、雨ざらしにされていた「意見」を深堀して、自社のハッキリわかるような「強み」とも言えない、もしかしたら、「ムダ」に位置するような経営資源を掛け合わせることで、「戦略的作戦」みたいなものが生まれるケースがあります。以前議論され、雨ざらしにされたまま、放置している「機会」やニッチ市場やニッチカテゴリーのマーケットこそ、取り上げて十分仮説検証すべきだと思います。

革新的な「機会」より、蒸し返した古い「機会」のアイデアを深堀る

革新的な「機会」から生まれた独自の経営戦略は格好いいものです。ただ、大事な事は、その経営戦略は利益を生むかという事です。いかに独自性のあるニッチ市場・ニッチカテゴリーを見つけても、「捕らぬ狸の皮算用」であってはダメですね。「革新的なアイデア」は、数字に直結しない事が多いのも、事実です。

だから、「革新的なアイデア」よりも、以前の古いアイデアを、もう一度俎上に挙げて、再検討する方が賢明です。問題は、「蒸し返した古い機会」と言いましたが、以前と同じレベルの議論なら、時間のムダです。そこで、その「蒸し返した古い機会」を更に、とんがった、顧客やニーズをセグメントした事を議論します。

ヒット商品は革新的なアイデアより、既存商品の「とんがり」から始まる

昔から、ヒット商品の法則には、「革新的なモノより、既存商品をよりトンガって工夫したモノが売れる」と言われます。あまりに革新的なモノは、お客様がなかなか認知してくれない為、市場ができるまでに時間が掛かります。しかし、他社のマネで、ある部分がとんがったモノは、既に認知度もあるので、市場形成の時間が必要在りません。

最近、「家電ベンチャー」や大手家電企業の「特定カテゴリーに絞った家電」が人気を集めています。その家電は掃除機であれ、扇風機であれ、オーブンレンジであれ、炊飯釜であれ、元々市場にある商品です。それを、特定顧客向けの特定ニーズに合った製品にする事で、それまでより高単価の製品なのに売れている訳です。

顧客は数か月先の納期待ちでも、待つわけです。これは単なるブームとは思えません。自分のニーズに合致した商品は、高価格、長納期でも良いという消費者が増えているという事でしょう。

自社内SWOT分析では、「革新的な意見」だけを求めず、既存商品のとんがりで、既存顧客のセグメントに絞った「機会」をひねり出すような推進が必要だと思います。

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