アプローチが違うSWOT分析の2つのメソッド

SWOT分析のアプローチには大きく2種類あります。一つは、まったくフリーハンドの状態で、固定概念を抜きにして一から議論する「フリーSWOT分析」もう一つは、ある程度仮説があり、それに対して論理的根拠を明確にする「テーマSWOT分析」です。目的別にその使い方が異なります。

ただ、昨今の会計事務所を中心とした経営改善計画書の根拠として使われる「SWOT分析」は、「テーマSWOT分析」が多いように思います。簡単に言うと、「最初から答えありきで、その形式の論理的な背景づくりとして、SWOT分析をしてみた」という感じです。では、それぞれの「SWOT分析」のメリット、デメリットと可能性を見ていきましょう。

1、フリーSWOT分析

これは私の造語です。固定の考え方や枠を決めつけずに、どんな可能性があるのか、まさいフリーハンドで議論してパターンです。

メリットは

  1. 「出来ない理由」に振り回されずに、市場環境を冷静に見て、ニッチ市場の可能性を発見できる
  2. 荒唐無稽な事を言ってもOKだから、斬新なアイデアが出る可能性がある
  3. 既存の市場や手法を否定する事を是としているので、バンバン意見が出る

デメリットは

  1. およそ現実の経営資源を無視した可能性追求になりがち
  2. 議論のゴールが見えないから、広がりっぱなしで収拾がつかない可能性がある
  3. クロス分析の各戦略において、ヒトモノカネカンリが追い付かない戦略が生まれる

 「フリーSWOT分析」は、枠にはめない検討なので、いろいろな意見が出たり、可能性を追求することは当然です。ある意味、固定観念にとらわれた経営戦略以外のアイデアを出したいなら、「フリーSWOT分析」が必要です。

2、テーマSWOT分析

これも私の造語です。テーマSWOT分析が、ある程度決まったテーマや方針や戦略の方向性があり、それに沿ってSWOT分析をする事です。例えば、「既存ビジネスの周辺から新規事業に参入」という課題があるなら、それに沿って「機会」「強み」「脅威」「弱み」を議論し、各クロス戦略を出します。

また、「商品アイテムの拡大」「新地域・新市場の拡大」などのテーマがあれば、それに沿って行います。最近、多いのが、「新商品の開発」で、「こんなconceptの商品を創りたい」から、そのマーケティング戦略としてのSWOT分析も増えています。

メリット

  1. 先ず、議論の方向性が決まっているので、議論しやすく、意見をまとめやすい
  2. 固有の話題、固有名詞が出て、リアルな検討になる
  3. 現実直視型で、外れた意見はほとんど出ない

デメリット

  1. 議論の幅がない、新たな可能性が出にくい
  2. 議論の過程で、何回も現実の壁にぶつ当たり、発展的な議論にならない
  3. 「できない理由」が現実的で、打開策が見えない

テーマSWOT分析は、経験的に現実の壁があると、途端に議論が停滞する事を多く見てきました。

3、フリーかテーマか

経験則で言えば、若い経営者や役員やニューエコノミーの企業は「フリーSWOT分析」を好み、高齢の経営者や役員やオールドエコノミーの企業は「テーマSWOT分析」を選ぶ傾向があるようです。仮に経営者が高齢でも、斬新な意見や考え方をもっていても、役員がネガティブで新たな事への挑戦意識が弱い場合、「テーマSWOT分析」を好みます。

大事な事は、フリーでもテーマでも、しっかりした「ニッチ市場とそれに適合した細かい強みの発見」です。だから、固有名詞で議論できないクロス分析の各戦略は意味がない訳です。

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