人事考課結果の調整の仕方

中小病院や介護施設では、「人事考課後の昇給・賞与額決定までの取り組み」 を、下記のケースの様にやっている事があります。

人事考課後の昇給・賞与額決定までの取り組み

  1. 各部門長から出された結果が、実態と合っていないとして、経営者と事務長で勝手に調整して決める。
  2. 部門間の評価バランスが悪く、甘い部門長の部下の評価は高く、厳しい部門長の部下の評価は厳しく、バランス上適正とは言えない。
  3. 考課ソフトに照らして、甘辛調整をして、なんとなく平均的な中央に集中した評価結果にする。
  4. 賃金システムを作成したコンサル会社に、考課結果を丸投げにして、そこで賃金を決めてもらう。
  5. 各部門から出された考課結果のまま、賃金を決めてしまう。

(4)と(5)は論外ですが、(1)・(2)・(3)の病院や施設は 結構多いものです。 実は、(4)も数件聞いた事があります。 

まさに「人事の放棄」と言える管理体制です。 「人事考課の調整」とは、どうあるべきでしょうか? 評価項目や内容がどうであれ、管理者の評価能力がどうであれ、人事考課の結果 で、賃金や賞与は決めなければなりません。 もし、形式的に人事考課をやっているだけと言う病院・施設があるなら、今すぐ 人事考課を止めて、年功序列の昔の公務員の様にした方が、人事面での被害は むしろ少ないかも知れません。 

それはさておき、「人事考課の調整」とは、下記のような要素を含んで行われます。

人事考課の調整

  1. 評価点数付けは「絶対評価」で構わないが、昇給ランク決めは「相対評価」でないと、「昇給インフレ」が起こり、人件費率が一気  に高止まりし、経営を圧迫しかねない。
  2. 部下の評価序列ができる職員数がいる部門は、部門長の判断で序列をつけるが、小規模部門は、年功的評価と、目標評価や貢献度評価で行う。
  3. SABCDの5段階評価で、間違いや問題が多いのはD。でも該当者は0で、それ以外は全部昇給と言う、あり得ない仕組みである。  Dは本来、「辞めてもらうべき問題職員」である。断固とした対応が 必要なはず。
  4. Cも減給に近い評価のはずである。
  5. Bは一番多いゾーンだが、Bにもピンからキリまでいる。  Bも+、±、-の3段階が必要である。
  6. 職員数が不足しているから、悪い職員もマイナス評価出来ないというのでは、結果的に更に職員不足を招く。  なぜなら、良い職員が見限っていくから。
  7. 人事考課項目に沿って点数をつけても、部門長が思った序列と  点数結果は異なるはずである。その為に、調整が必要なのである。     そういう本質を踏まえ、私達は「人事考課調整会議」を、部門長と一緒 になって 実践しています。 

「人事考課調整会議」は、下記のパターンで進められます。 

人事考課調整会議

  1. 先ず、部門長の配点通りにして、序列をつける。
  2. それをプロジェクターで見ながら、それぞれに評価ランクの S、A、B+、B±、B-、C、Dをつける。
  3. 評価ランクはおおよその基準(S=5%、A=15%、B=70%、C=15% 、D=5%)は決めているが、部門長の意向でそうならない場合が多い。 (SもDもほとんどいない)
  4. その評価の理由のポイントを聞き、コメント欄に記入する。  (たくさんの評価結果でランクは決まるが、特にA、B+、B-、Cは、 そう判断する重要な理由があるはずだから)
  5. そのコメント欄には、「次回、〇〇が良かったら、Aにする」とか」「次回 も〇〇がダメだったら、Cにする」等を聞きだし記述する。  (このコメントが面談で威力を発揮する)
  6. 次回の評価時に活用出来るよう、この重要人事データは事務部が  管理し、評価時にプリントアウトして部門長に貸し出し、終われば回収し、 シュレッダー処理する。

この「人事考課調整会議」は、実は慣れるまで、私達のようなコンサルタントが コーディネートするケースが多くなります。 これには理由もあります。 部門間をまたぐ評価バランスの判断が、経営者や事務長では出来かねるから です。 そして、全部門の評価をした部門長と面談しながら、調整会議を進める事で 評価バランスが良く分かるようになります。

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