KPI監査士 従来型MAS業務・経営支援では効果が出ない本当の理由と「KPI監査」の違い

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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従来型のMAS業務での限界は多くの会計事務所が感じている所です。

そこにはいくつかの理由があります。

経営者側の思いや業績改善のポイントの基本を知らずに、上辺だけのMAS業務をしても経営者・後継者はなかなか評価しません。

むしろ「時間の無駄」「無駄なコスト」だと思われてしまいます。

弊社が提唱する「KPI監査の重要性」も最近その趣旨を理解した税理士が増えてきたのは良い傾向だと思います。

決して「コンサルタントような支援をしましょう」と言っているのではありません。

「従来のMAS業務以上コンサルティング未満」を目指す感じです。

本項では、従来型のMAS業務が効果を発揮できない問題点を整理します。

1,一般的な経営計画書指導は作成時から間違えている

 ⑴経営者の言葉だけを鵜呑みにしてもダメ

    経営戦略をロジックで対応できない会計事務所では経営計画の収支予算が立てられるが、その中身までの介入が弱い。

    結局中身の深堀をしない為、「経営者が言った言葉」をそのまま記載している。

    その経営者が思いつきであれ、荒唐無稽な事であれ、これまでも出来なかった事の繰り返しであれ、言葉を鵜呑みにして文字にするだけ。

    その経営者が言った言葉の背景や意味を再質問し、根拠性の有無を確認せずして、文字化してもダメだ

 

 ⑵商材根拠が曖昧なまま、収支を合わせてもダメ

    収支予算は商材計画と顧客対策、プロセス具体策で決まる。

    しかしその中身の具体性、論理性、段階性がなく曖昧なままにして返済原資から導いた売上利益予算なら誰でも出せる。

    しかも、現実と返済ができる収支計画には差が大きいので、取り敢えず適当な落としどころの収支予定にしてしまう。

    適当な落とし所をしない場合は、最初から到達不可能な数値一人歩きの計画書になりがち。

    商材対策がないのは「商材」を導く議論ができるフレームを持っていないから。

    KPI監査では「SWOT分析」「業界の公式」「ボトルネック」の3つのロジックのアプローチから 

   「商材づくり」の議論をする

 

 ⑶アクションプランはあっても、行動プロセスがないとダメ

   行動計画と行動結果のチェックを行うのが「アクションプラン監査」である。

   これを実施している会計事務所は少ない。だがこれだけでも不十分。

   何故なら「行動期限」を決める際に、段階別行動の期限を決めない限り、やっぱり経営者も幹部も動

  かないからだ。

   すべての対策には必ず行動プロセスが必要だが、それを議論せず、いきなり「いつまでに、何を、どう実現する」という行動結果ばかり記載する。

   それでは顧問先の経営者も幹部も行動プロセスイメージがない為、実行しないケースが増える

 

2,経営支援で業績改善が進まない本当の理由

 ⑴行動プロセスまで踏み込んでいないから

   「決まったことを決まったように行動すれば業績は上がる」多くの経営者も頭では分かっている。

   しかし、そうしない経営者、幹部には行動のイメージが沸いていない場合が多い

  (行動結果につながる段階的プロセスがイメージできない

   行動のイメージとは「先ず、これをして、これができれば次にあれをして・・・」と段階別の詳

  細行動だ。

   新規見込み先にパンフ配布訪問をしようと決定したとする。

   「パンフを〇月〇日までに、専務が作って下さい」

   と決定しても、その専務は「パンフってどうつくるの?タイトルは?文言は?Wordなのパワーポイントなの?どんな掲載の仕方をコンサルは求めているの?」

   と疑問だらけ。だからその疑問がある限り、行動に移さない。

   その場合「パンフのパワーポイントのフレームをコンサルが〇月〇日までに専務に出すので、それを受けて〇月〇日までに作成してください」と段取りがあると、その専務は作成

   する確率が高くなる。

   

 ⑵本当の課題(真因)に集中していないから

   経営会議や営業会議、幹部会議でいろいろ議論しても、本当の具体的課題(真因)解決に集中しない限り、局面打開は難しい。

   多くの中小企業は直ぐ問題の解決策を出そうとして、弥縫策を次から次へと打ち出す

   いくら対策事項は増えてもなかなか業績につながらない。

   むしろ、いろいろな弥縫策の種類が増え、本業以外の管理項目が目白押しで、そこに時間も取られ現場が混乱。

  結果、違う問題点が噴出する事になる。

   本当の課題は「何故何故分析」や真因ロジックツリー分析から生まれる。

   しかもこの真因ロジックツリーは「ヒトのやる気」や「組織の問題」などの抽象的な事ではなく、物理的で固有 

  の課題にフォーカスしないとダメ

 

 ⑶得意な事に注力していないから

  苦手な事、不得手な事をどんなに注力しても成果は出ない。もともと「弱み」なのだから。

  それより、「得意な事」「強み」を更に伸ばす方が、結果は出やすい。

  しかし多くの「経営改善計画書」を見ると「問題点の解決策」「弱み対策」が多く、文字と数字だけならいくらでも書けるが、実際に取り組めない事だらけ。

  なぜなら、「弱み改善」は、ヒトも時間もカネも厳しい中小零細企業に「新しい行動」を要求する事だ。

  しかも、最初から苦手意識がある中で、今でも忙しいのに更に「苦手な事」を取り組むはずもないのに。

  だから業績改善が進めるには、もともとある「強み」を更に徹底して伸ばし、その周辺ビジネスまで拡大する事だけだ。

 

 ⑷「決めたことを決めたように」実行しないから

  中小零細企業の会議では社長以下、幹部も「決まったことを決まったように実行しない」事が多い。

  いくら5W2Hで決定事項を作ってもだ。

  それは目先の業務に追われているし、時間確保も難しく、先行管理もできていない。そして「やらなかったとしても何のお咎めなし」だからだ。

  一番守らないのは経営者だったりする。だからそんな企業はいつまでも業績が上がらない。

  「決まった事を決まったように実行」する仕組みやチェックシステム、情報公開のルールなどを同時に行わない限り、いくら決めても中小零細企業は実行しない。

 

3,MAS業務は予実チェックではない

  ⑴収支の予実チェックをしても結果論や反省ばかりで前に進まない

  MAS業務で経営計画と月次結果をチェックしてマイナスの差額が出ると、「何故達成できなかったのか?」の確認をするだろう。

  できない理由はいろいろあるが、反省をいくらしても、次月にその効果が現れない

  それは「反省」という言葉が横行し、確実に行動するような決定になっていないからだ。

  反省をする段階で総花的な議論が横行し、的が絞れない事が多い

  的が絞れないと具体的な「次の一手」の検討ができない。

  昔「反省だけならサルでもできる」というサルに失礼な言葉を言う人がいたが、全くその通りだ。

 

  ⑵未達の理由解析をすると、いつも同じ話題の繰り返し(例 人手不足、社員が動かない、不景気、原価高騰など)

  ダメな会議では売上・利益目標未達の要因分析をするといつも同じような言い訳が返ってくる。

   ●人手がいないから。その時間が取れない

   ●現場の忙しいし、社員に言っても動いてくれない

   ●よそも厳しいし、この業界は景気回復してくれない

   ●原価高騰が収まらず、あまり値上げしても他社にとられるから、利益確保は難しい  等々

  言っていけばきりがないほど、「できない理由」はある。

  大事な時間と経費を使って行う会議で、毎回こんな返答ばかりの会議でMAS生産性があがるべくもない。

  業績結果のチェック内容、質問内容が漠然と大きすぎるから

  「専務、先月の売上結果が未達だったのは何が要因ですか?」

  「社長、粗利率が良くならないのは、何が原因ですか?」

  こういう質問ばかりしても、相手から出てくる返答は総論の言い訳や外部環境論ばかり。  

  こんな「できない理由」のオンパレードでその後の具体的な決定事項の捻出まで進まないのだ。

  

 ⑶「収支」に直結する行動プロセスを指標化(KPI)を設定し、モニタリングすると変化が起こる

  大事な事は「問題を小さくする」こと。

  「KPI監査」で行う行動プロセスの数値化は、課題を小さくしてその数値結果をコントロールする事

  「売上利益結果」はいろいろな要素で成り立っている。

  幹部社員が言い訳に使う「市場の状況」「顧客の都合」「商品力」も一つの要素であり、これをすべて「やる気と行動力がないからだ」と否定されると立つ瀬がない。

  しかし、収支につながる行動プロセスを分解し、その行動一つ一つに目標値を決めて、その詳細な行

 動目標値だけを追いかけるなら目標達成の確率は上がる

  その行動プロセスの指標である「KPI目標」が毎回達成されるなら、必ず成果が出てくる。

  だからKPI監査でモニタリングをし続けると行動にも業績にも変化が出てくるのだ。

 

 ⑷「売上利益結果」の責任を負わせるとモチベーションダウンと不安と不信になる

  「売上利益結果未達」は本人、部門だけの責任にするのは忍びない。

  前述にように「言い訳要素」が全くない訳でないからだ。

  もし結果責任だけを負わせたり、成果インセンティブの比率が大きくなり過ぎると、従業員はモチベーションダウンになり、最悪離職する従業員が増えていく。

  以前は「良い結果はいいプロセスだから」と言われ、「結果を出さないものはプロセスが間違っているから、自分でプロセスを考えよ」というマネジメントが多かった。

  しかし昨今はチームで業績を出す時代

 「良いプロセスを皆で考え、皆で実行するからいい結果が出る」そんな時代だ。

  甘いと言われようが、優しすぎると言われようが、「プロセス重視」のマネジメントにせざるを得ないのだ。

 

 ⑸KPIの結果(行動事実結果)を人事評価や賞与に反映させる

  「売上利益結果」だけで人事評価を決めるのは今の時代に合わない。

   かと言って、やる気ある態度や協調性、仕事姿勢などの「情意評価」で決めるのも事実を反映しない。

   しかし、行動プロセス指標「KPI目標の達成率結果」を人事評価に反映する事は理にかなっている

  「売上利益結果」責任ではなく、自ら決めたまたリーダーが必要だと思ったKPI目標の達成率は自身の責任である。

   もし、KPI達成率を上げたいなら、それだけ的を絞った行動を増やせばいいだけだ。

   また管理者はそうできるように指導支援をすればいい。

   人事評価でKPI達成率を重視すれば、普通の人材ならKPI達成に向けて行動量が上がるはずだ。

   必然的に情報収集量も増え、KGI(最終到達指標)も良くなり、結果「売上利益」も良くなる。

   それがKPI監査の効果である。

   KPI監査士は、KPIが入った賞与評価や人事考課策定にも関与しなければならない。

   こういうところまで介入するから企業との関係性がより濃厚に、より長期的になっていく訳だ。

 

 

 

 

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