値上の限界、閾値を超えると売上がダウンする

SWOT分析、KPI監査、事業承継見える化コンサルタントの嶋田です。

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昨年から原料高の値上げによる「価格転嫁」が多くの企業で行われています。

しかし、「値上げの閾値」を超える事で、「消費者離れ」「受注ダウン」が起こり始めています。

日本人は許容範囲を超えた値上げは「欲しいけど買わない」という選択になるようです。

私のクライアント数社の話を総合すると、ちょっと不気味な未来の予見があるように感じます。

1,最初は「値上げは仕方ない」と受け入れた顧客

コロナによる生産悪化とウクライナ危機で、軒並み消費財も生産財も食料も原材料の値上げが起きています。

「モノを作る為に必要だから」

「食べていくには、値上げは仕方ない」

当初こそ、必要なものは値上げしても購入せざるを得ない」と多くの消費者も、法人も考えていました。

そして、長年続いたデフレ思考から、今回の値上げがインフレ思考に変わるきっかけになるとも思っていました。

そして、それに合わせるように国も、経団連も大企業も賃上げの推奨と発表を繰り返し、インフレに対処しようとしています。

今回の急激な値上げは「必要悪」という見方も多いのです。

 

2,インフレになれていない日本人

ところが、やはりデフレが30年余り続き、値上げに慣れていないのがわが日本人。

頭では「仕入や原料が上がっているから値上げは仕方ない」と思っていても、いざ財布の中身を見て、そこまで賃金も付加価値も上がっていない実情を見ると、違う思いが出てきました。

それは

「ちょっと上がり過ぎじゃないのか?」

例えば、大手食品メーカーのインスタントラーメンも普及帯商品の値上げで2年前まで120円だったものが150円になりました。

この位なら許容範囲です。

しかし、度重なる値上げで200円近くなったらどうか。

消費者は「普通のインスタントラーメンに200円は馬鹿らしい」

と思うかもしれません。

付加価値のあるインスタントラーメンなら300円でも400円でも受け入れるかもしれませんが、しかしそれは数量が稼げない商品です。

やはり普及帯の商品が消費者の感覚的閾値を超えると、不買に走るということです。

なにせ、値上げに慣れていない国民ですから。

 

3, これから起こる需要減少

B to Bでも起こっています。

資源価格が値上がりと人件費の上昇に合わせて製品価格を随時値上げしています。

末端で消費の動きが減速すれば、必ず受注ダウンになります。

その証拠に運転手不足に悩む運送業界は「仕事があるのに人がいない」事が悩みのタネでしたが、最近は積み荷が埋まらない事が悩みのタネになりつつあります。

積荷が埋まらないということが荷物が動いていないということ。

積荷の減少傾向は不景気の先行指標でもあります。

あれだけ半導体不足でクルマもスマホも生産が停滞していた分野でも、何故か半導体がダブつき始めていると報道があります。

極度の値上げに消費の停滞、半導体の余剰などから、どうも今後需要減少の不景気感が漂い始めています。

 

4,再度企業は固定費削減に舵を切る

もともと「コロナ不況が2022年から起こる」と言われましたが、「ゼロゼロ融資」で資金の欠乏を逃れた中小零細企業は生きながらえる事が出来ました。

 そして2023年はゼロゼロ融資の据置期間終了に伴い、返済ができない中小零細企業の倒産廃業が増えると言われていました。

政府もさすがに企業倒産が増える事を警戒し、「ゼロゼロ融資返済の借換保証」の制度を追加しました。

しかし、返済資金を借換で何とかしのいでも、実際の売上減少や原料高による資金不足を補う「真水」の新規融資は厳しい状況です。

すると多くの中小零細企業は受注不振に加え、新規資金も手に入らないとなると、一気に固定費削減に舵を切るでしょう。

固定費削減とは、人員整理を意味します。

そうすると失業率が増え、不況感が一層厳しくなります。

既に人員整理しか行える術が残っていない訳です。

給与賞与を下げる事は能力のある若手が離職する事を意味し、高給取りの中高年が残る事です。

またリーマンショック時の「リストラ」が増える可能性があります。

アメリカの大手テック企業では、大規模なリストラがされていると言います。

 

今後、不況感が現実になれば、固定費削減に経営者は舵を切ります。

そんな時コンサルタントは何をすべきか?

不況対応型のコンサルティングをしないと、解約の憂き目にあうでしょう。

これまで、ブル崩壊、IT不況、リーマンショック、東日本大震災などの局面で、「直接効果のないコンサルティング」しかしない方はその度に仕事を失ってきました。

今回はいろいろな要素が複雑に絡んだ「複合不況」なので、簡単には回復しないかもしれません。

腹を据えて取り組む必要がありそうです。

 

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