私のSWOT分析コンサル失敗談②

SWOT分析をコンサルティング現場で活用すると、いろいろなケースに出くわします。 200近い事業所のSWOT分析指導経験があるからと言って、毎回クライアントが納得する事ばかりではありません。今回の「私のSWOT分析コンサルティング失敗談」は、決定権者への対応を見誤ったことで、経営者から不評を買い、その後の顧問契約にならなかったケースです。

1、意見を言わない経営者、戦略的な意見を言う専務と部長

その企業の経営者は穏やかで口数の少ないタイプ。主に総務経理や管理畑の仕事をしています。弟である専務や若手の営業部長は現場畑で、逆にバンバン意見を言うタイプでした。専務は発想が革新的で「機会」についても、面白いニッチ市場の意見をバンバン言います。また「強み」も小さな経営資源を何とかひねり出そうとするので、「SWOT分析検討会」自体はスムーズに意見や議論が途絶えることなく進みました。逆に社長は保守的なのか、専務のそういう意見に口を挟むこともないので、「積極戦略」もなかなか面白い具体策が出てきました。

2、経営者の言う「今日は私は黙っている。皆の意見を聞きたい」を100%鵜呑みにしてはいけない

私自身も専務や部長の意見ばかりを聴くわけにもいかないので、時折「社長、今の専務の意見はいかがですか?」と振りました。しかし、社長は「いい意見ですよね」と肯定的な反応です。そして、途中で「先生、今日は皆の意見を中心に聴きたいと考えています」と、暗に自分は控えるような発言をされました。ならば専務や部長の意見をどんどん聞きだし、どんどん積極戦略へと導きました。有益な積極戦略が3つほど固まり、アクションプランへの議論へと進めました。社長は相変わらず、何も言いません。

それで専務、部長主導でアクションプランの円滑に議論が進みました。そのうちに、社長の表情がだんだん硬くなっていくのが分かりました。明らかに不満があるような顔つきです。しかし、社長に振っても「私の意見は結構ですから・・」正直、この時点でヤバいと確信しました。

3、クロス分析、アクションプランの中身が良くても顧問契約はしなかった経営者

SWOT分析研修終了後、アクションプランを実現する為にモニタリングが必要という事を提案しました。いわゆるそのまま「経営顧問」へとつなげるのが、私の常套手段ですから。クロス分析もアクションプランも専務や部長の意見を中心に、かなり詳細にまとめられ、私自身も「良いSWOT分析研修会だった」と思っていました。

しかし、研修の途中から社長の表情が硬くなったいたことが唯一の懸念でした。案の定、社長から「先生、専務はあんな感じで前向きっぽい事を言いますが、食い散らかしの仕事が多く、私が後処理をいつもしているんです。決まった積極戦略だって以前も失敗したんです。でも専務は諦めてないないんです。あそこで私が専務の意見に否定的な事を言うと、兄弟げんかみたいになってしまうので黙ってました。」と。結果、顧問契約には至りませんでした。

4、この失敗で学んだこと

途中で休憩を入れて、最終決定権者である経営者の意向を確認する事が必要ですね。経営者も皆の面前で議論に水を差すようなことは言いたくないし、ましてや議論が喧嘩みたいになることは避けたいと思っています。もし、あの時、「機会」「脅威」「強み」「弱み」が一体整理された後で、休憩をとり、経営者の意向を個別に確認していたらその後十分議論修正はできたはずです。このように、SWOT分析検討会や研修では、SWOT分析の知識ではなく、ファシリテーションの間違いや組織、人間関係への配慮不足が原因でうまくいかないケースも多々あるわけです。だからSWOT分析を学び、実践の使い方は「コーディネート技術」こそ一番大事なテクニックだと心得るべきかもしれません。

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