ムリに「弱み」を強くする努力をしない

企業も個人も必ず「強み」もあれば、「弱み」もありますよね。そして、多くの企業も個人も「弱み」箇所や苦手箇所を良くする為に、いろいろな努力をします。確かに「弱み」を克服する事は大事ですが、そのエネルギーは「強み」を更に伸ばす事以上に大変な事です。

「弱み」はちょっとやそっとの努力で、改善しません。怖いのは、「弱み」克服に血道を上げている時に、「強み」箇所を更に伸ばす事が停滞し、魅力がなくなることです。ある中小企業の製造業でコンサルティングをしていた時の話しです。

「強み」にフォーカスをあてる

その企業の「強み」は、ある製品分野でした。この分野は先代の創業時からの「基幹事業」ですが、ここ数年低迷していました。そこで、経営者も役員も、経験も知識も少ないある新分野を成長させようと思いました。しかし、そこには既に多くの競合があります。その競合の間で売上を上げるには「価格戦略」を仕掛けるしかありませんでした。シェアを取にいこうとした訳です。

しかし、価格戦略のお陰で多少の売上は上がりましたが、赤字の垂れ流しで、シェアアップもできません。経営者の号令で、「新分野」での起死回生を狙った「組織再編」が動きだしました。基幹事業担当の有能な営業マンと開発要員を、新部門に投入する人事を行いました。無論役員からの反対意見があったのですが、それを強引に押し切ったのです。

半年もしないうちに、変化が出ました。それは期待した事と真逆な事が起こったのです。新部門は相変わらず、赤字で売上もシェアも低迷のまま、しかし基幹事業の昨年対比が10%ダウン、15%ダウンと大きく減少していきました。慌てた経営者は再度、基幹事業強化の人事を行いましたが、一度落ちてきた業績を立て直すのは大変であり、相当な時間が掛かります。

ここでも判断ミスは、「弱み」である新部門に全社資源を投入している間に、「強み」であった基幹事業が手薄になり、業績ダウンをした訳です。そして基幹事業のダウンは致命的に近いダメージを与えます。「弱み」はそう簡単に良くなりませんが、「強み」は手を抜くと一気に悪化し、アドバンテージが取れなくなります。

もっと、「強み」を他方面に伸ばす施策をとるべきでした。もともと「弱い」分野に「強み分野」以上にエネルギーを費やしてはいけないと言う事です。新規事業で勝つ、起死回生の戦略なんてことは、実際には少ないです。それよりも、これまで「強み」だった事を更に「強く」する事のエネルギーを掛けるべきだと思います。

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