病院や介護施設は人事評価制度を導入する前にすることがある

病院や介護施設で人事考課のコンサルティングをしている私が言うのはなんですが、これから『本格的な人事考課制度』を導入しようと考えている医療法人や社会福祉法人に強く提案したいことがあります。それは、「求める人材像の定義なく、人事考課を導入しても、反発を招くだけ」ということです。どの職員も自分なりに精一杯業務に精励しているという自負があります。人事考課とは、その人に「あなたのここが悪いから改善しなさい」というようなものです。

「上司が自分の評価を決めるのが人事考課」だから、渋々従いますが、内心は穏やかでありません。最近、あるコンサルティング会社の指導で、360度評価の人事考課制度導入をした病院(介護施設もある医療法人)の理事長と事務長から聞いた話です。「高額な費用を払って、コンサルタントを入れて人事考課制度を導入したけど、組織が逆にギクシャクして、評価制度どころか、辞めていく職員が出て、完全な失敗だった」何故、そうなったのか?そのシステムが悪かったのか?その経緯をいろいろ聞きました。

すると、

「システムはよくできています。360度評価の定量評価もしやすいし、システムに採点を入力したら自動的に評価結果が出て、賞与や給与のランクが出てくるので、事務方としては大変楽な仕組みです。しかし、360度評価は部下も上司を評価するので、上司が部下に厳しいことを言えないし、指導が曖昧になったり、また増長した部下が上司を『逆パワハラ』みたいなことをするケースもありました。横の評価でも、あまり知らない横部門の職員を評価する事で、部門間の誤解が発生しました。元来、部門間連携を目指していたが、全く逆の結果になったしまいました。」と。

私が

「どうしてそんなことになったのか?進め方に問題があったのでは?」と聞くと、

「そこなんです。人事考課の勉強会を数回しましたが、職員も管理職も『査定の在り方』ばかり意識して、人事考課の本来の目的である『教育効果』が無視された形になりました。多分最初の動機づけに問題があったようです。」

この病院の人事考課制度導入の失敗の原因は、コンサルタント側にも責任がありますが、「求める人材像」の定義や納得がないまま、制度だけが先行した結果、目的意識を無くした事です。

私たちが推進する「人事考課システム」は、まず「求める人材像」という定義づくりから始めます。経営陣や管理職と、基本理念や綱領、また日頃「職員にはこうあってほしい」という議論を尽くし、それを「求める職員像」「求めるリーダー像」として、箇条書きで定義します。そして、それを勉強会や研修会で徹底的に説明します。この「求める人材像」をベースに「人事考課の評価項目」を設定します。しかも、評価項目も実際に評価を行う管理職との検討会で作成するので、管理職は評価項目や評価基準を作成過程で、「自分たちの評価システム」だという認識になります。

とにかく人事考課制度導入の前に、「求める人材像」という定義を先に作ることが大事だと思います。 

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