自分より年齢・経験が上の部下へのマネジメント

病院、介護施設のおいて淀んだ組織の活性化策として、また管理能力がないベテランではなく、理論的に物事を考えられる若手に権限を与える為、抜擢や若手を昇格させる場合があります。若手のエネルギーやヤル気を期待した処置ですが、そこに思わぬ落とし穴があります。

その落とし穴に対する指導や事前の心構えの教育がないと、能力のある若手が潰れていく現実をたくさん見てきました。私も20数年前に修業していたコンサルタントファームにおいて25歳で初級管理者、28歳で部門長、そして30歳でボードと、かなり早いステップアップを経験しました。当初は年上の部下ばかりで、いろいろ悩み、きつい事も経験したので、今回のテーマは、私の経験も交えて、2回にわたりにマネジメントノウハウをご紹介したいと思います。

「年下の上司」が、「年上の部下」の対処する場合の注意点

先ず、「年下の上司」が、自分より経験の少ない「年上の部下」に対して、「その人の過去の経験を尊重した態度」を取る事が大事です。良くまじめな年下上司にありがちな物言いです。転職してきた年上の部下が、前職の話をしたら、その内容に興味を示さず、「うちにはうちのやり方がありますから・・」とやや否定的な聞き方をする事です。こうすれば相手は今後も心を閉ざし、協力がもらえなくなる可能性があります。

また、最近では減ったかもしれませんが、「職務権限を傘に、上から目線の物言い」がトラブルを招くという事です。年下や同年齢と同じような物言いで、「年下部下」に対して配慮がない言葉使いをすれば、協力はもらえないばかりか、年長者を配慮しない姿勢は、人間性欠落の烙印を押され、一層関係が悪化するのです。だから、仮に指示しても「動かない」「遅い」「間違う」年上・年配の部下がいても、感情的に指導してはならない事を肝に銘じましょう。

逆に「年上だから、有資格だから」とへりくだり過ぎたマネジメントを若手管理者が行えば、結果的にチームに悪影響をする場合もあります。「年上の部下」が経験豊富な場合、若手管理者の教えを乞う姿勢が強く、卑屈になり過ぎると、チームのリーダーシップが発揮しにくくなります。特に、若い管理者の経験不足で自信がない場合、何でも「年上の部下」に相談し、まだ相互に信頼間ができる前の段階で権限移譲や意思決定まで依存してしまうと、足元をすくわれるという事です(人間関係が醸成された後は多少の依存はありうる)。

余り過剰に「年上の部下」に依存し過ぎると、他のスタッフまで若手管理者ではなく、その「年上の部下」に相談や指示を仰ぐようになり、2頭政治が始まっていきます。こうなると、若手管理者は、相当のストレスを感じはじめ、精神的に参ってきます。このケースで、うつ症状が出た若手管理者を何人も知っていますが、ほどほどが良いという事です。

あと気をつけたいのが、「年下の若い管理者」が正しい事を論理的に言えば言うほど、「年上の部下」はいう事を聞かない可能性があるということです。これはどういくことか? 彼らは「年下の若い管理者」が言っている内容ではなく、言い方や、態度に対して不快感を持っている場合が多いのです。また、「自分の評価や生殺与奪の権利を持っているのは、もっと上の上司」だと、腹をくくっている場合は、直属の若手上司のいう事を聞かない事も多くなります。

論理的に正しい仕事だけではなく、「気遣い」「配慮」「優しさ」も比例したマネジメントが求められるという事です。

人が動く3条件「正面の理」「側面の情」「背面の恐怖」

リーダーシップのテーマでも申し上げましたが、人が動くには「正面の理」「側面の情」「背面の恐怖」と言われています。これは、住専処理で辣腕をふるった故中坊公平氏が使っていたとされています。正面の理とは、正しい理論です。いわゆる理屈が合っているかどうかです。しかし、それだけでは人は動かない。

そこに「側面の情」と言う、横からの思いやり、優しさ、愛情、温情が必要だという事です。腰が低いこともこれにあたるかも知れません。しかし、やはりそれだけでは、まだ不十分。最後、「背面の怖」と言う、「指示に従わない」「いう事を聞かない」場合の怖さも必要だというのです。やらざる得ない状況の追い込むこともこれに当たります。

特に若手管理者は、「仕事だからやれ」と言う姿勢だけでなく、「協力してもらう」「気持ちよく働いてもらう」為には、どんな態度や言葉かけが必要かを冷静に考えなければなりません。

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