職員の離職理由を知れば、対策が浮かび上がる

先ず下のデータをご覧ください。 これは弊社のコンサルティング先である、病院や介護施設での退職者のヒアリング から出た「辞める理由」です。

この「辞める理由」には、「結婚」「出産」「子育て」「健康障害」が退職理由の 場合は含んでおらず、あくまでも「組織内の問題」による退職理由を上げています。

弊社調査による 「結婚出産・健康障害以外で辞めたくなった組織風土の理由 15」

  1. 経営陣も管理者も自分達の話を聞いてくれない
  2. 自分達の意見を聞かず、なんでも勝手に決めて、無理な事でも 『仕事だから』と言う指示に嫌気がさした
  3. 人が辞めてしわ寄せが来ていても、ねぎらいの言葉ひとつない
  4. 上とコミュニケーションがなく、言いたい事も言えない雰囲気で 息が詰まった
  5. この職場では、前向きな提案がいつも却下され嫌になった
  6. 上司は指示するだけで協力してくれず、自分ばかり孤軍奮闘させ られ、あほらしくなった
  7. 人間関係が難しい。問題の師長がいて、看護部長も知っているの に、何も手を打たない
  8. 評価制度を導入したが、不公平がまかり通り、経営陣はダメ管理者 の声だけで判断し 現状を見ていない
  9. うちの病院は何を提案してもダメ。新たな挑戦・独自の動きを絶対 しないから、その内ジリ貧になる
  10. 病院収支が悪く 給与も賞与も下がったが、『業績が悪いから 仕方ない』と一方的に言うだけで、経営陣や管理者からのお詫び の言葉もない
  11. 病院で起こっている事や、今後の方針を何も知らされず、ただ 「働け」というばかりの経営者に不信感がある
  12. 同族組織だから仕方ないけれど、仕事をあまりしていなくても 身内は厚遇されて、他人従業員には冷たい
  13. 責任と義務ばかり要求されて、何も権限が与えられていない
  14. 経営陣がとにかく仲が悪く、コミュニケーションが取りづらい
  15. 部門長同士の仲が悪く、必要な横の連携を自ら取らず、何でも 職員に伝達させる

いかがでしょうか。結構思い当たる節があるのではないでしょうか?ここで、「離職者が後を絶たない病院や施設」において、組織での問題が 生み出す「慢性的な課題」を5点上げたいと思います。

1点目は「誰かが辞めれば業務の負担が高まり、新たに辞める人が増える 悪循環」が生まれると言う事です。この悪循環を断ち切る為には、職員の負担増の間のメンタルケアを徹底して 行い、その間に補充を急ぐ事が求められます。 人は、「いつまでも続く過労」に対しては希望が持てず心が折れやすくなりま すが、「期限」が見えるものについては何とか頑張れる傾向にあります。 「補充が出来るまでは仕方ない」と過重労働を放置していると、一気に離職 者が増えるリスクがあります。 先ずは「面談」を通して、メンタル面のケアを行う事です。

2点目は「仕事の達成感や目標が見えない(いつの間にか仕事をこなす事で 精一杯)」と言う事です。ハツカネズミのようにただ走り続けるだけでは、疲弊感のみが残ります。 今、自分がやっている仕事の意義の理解、将来のスキルアップとキャリアパスの 構築、また実践していることが何らかの形で少しでも報われる事が、達成感や 目標につながります。それを導き出すのも管理者の業務と言えます。

3点目は「責任感がある人ほど、疲労し健康不安が生まれる」と言う事です。何事も一所懸命する人は、常に緊張感があり、疲労度も高いことでしょう。 おそらくそういうスタッフこそ、必要な人材として管理者も重宝していると思います。 ただ、人間の緊張感はそう長くは続きません。責任感のある人ほど、折れる時は 一気に来ますので、注意が必要です。

4点目は「医師も、患者・家族も、医療スタッフも、上司も責任のなすりつけ合い で、理解者・協力者が少なく孤立していると感じる」事です。人が一番辛く、そこから逃げ出したくなる最大の理由は「孤軍奮闘」です。 「いったい何のために自分は頑張っているのか?」が見えなくなる事です。 「孤立」する事ほど怖いものはありません。真摯な姿勢で一緒に考える姿勢や 風土があれば、何とか改善の糸口が見えますが、皆が自己保身に終始したり、 暖かい思いやりがなくなれば、「孤立者」は益々増えるばかりです。

5点目は「夜の連絡網が、疲れた職員に誤解を与え、離職を加速させる」と言う 事です。これは、以前のメルマガでも書きましたが、この理由による離職は枚挙に暇がない ほどあります。 仕事が終わって家に帰り、携帯電話で病院施設の人事の話や、他人のゴシップを 吹聴する輩がいます。悪い情報ほど、一気に伝搬します。 特に、疲弊している職員ほど、夜に話される裏情報のような悪い情報を正しい情報 と誤認し、病院施設から心が離れていきます。 こういう情報の伝染経路を特定し、防止する事はなかなかできません。 悪い情報・偽情報を誤認させないように、日頃からコミュニケーションが必要でしょう。 何故、人は誤認情報を信じるのかと言えば、それは正しい情報を言う人とのコミュニ ケーション量が少ないからです。

「離職理由」を個人の責任やキャラクターだけに負わせ、組織としてなんら対策を打た ねば、益々離職者は増え、事業そのものが継続しにくい事態になり兼ねません。

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