給与を上げても喜ばない職員?

今年は介護職員の処遇改善加算もあり、介護職の給与はどこも上昇基調ですね。昇給には、定期昇給、評価による昇給、等級昇格、役職昇進、資格取得による昇給があります。給与が上がる事は職員にとって嬉しい筈ですが、これがなかなか一筋縄ではいかないことがあるのです。

「給与が上がっても喜ばない職員」の存在です。多くの職員は、「今の仕事よりも難しくなく、気苦労もなく、労働時間も増えない」中での昇給には当たり前ですが、大賛成です。しかし、こんな好条件が現実にある事は皆無です。

 一般には、等級昇格や役職昇進により、高い昇給が出来るという事は、それだけ、レベルの高い仕事をしてもらわなければなりません。多くは、「より専門的な業務」「より管理的な業務」「より指導的な業務」「より失敗が許されない業務」です。

 ところが、給与は欲しいのに、上記のような負担が増える仕事をするなら、昇給はしなくても良いと考える職員がいるのです。

 それも、もともと出来の悪い職員なら、負担も給与も上げる必要がないわけだから問題ないのですが、そういう昇給昇格を拒む職員には、有能且つ可能性のある職員が多いのが問題になります。

 病院や施設としても、「今の管理職の後継として考えたい」とか「配置転換を考えるとどうしても、上に上がってもらわねばならない」。「年配の職員には期待できないから、この若手に奮起してもらいたい」等、様々な理由で、抜擢や昇進を考えたいところです。

 しかし、いかに経営側や管理職サイドが期待しても、相手が拒めば先には進みません。そこで、どうすれば「昇給や昇格昇進」を受け入れてもらうかです。

 一般に昇給昇進を拒む職員は、「上に上がると仕事がきつくなる」 「若手と経営幹部との板ばさみが嫌」 「経営サイドへの不信感」 「この法人では責任ある立場に立ちたくない」 「責任ある立場になる事で家庭の時間を犠牲にしたくない」 「別に昇給しなくても、十分食べていける」 「今の現場作業が気楽で良い」等など

の理由が上げられます。これらの「昇格阻害要因」を打破する仕組みのひとつが、法人が作成する「キャリアプラン」と個人の将来像の整合性を諮ることです。

例えば「今の現場作業のままでは、いくら月給が上がっても○○万円が限界。子供を大学に入れようとするなら最低でも丸○万円はいるだろう。

しかし、◇職で、こういう立場になれば、○○万円の月給が可能」と、生活費と給与の将来像で説得するケースが一般的な事例です。

 また、「貴方の職種なら現場作業が○才までは出来るが、それ以降は若手しか無理。このまま働くならマネジメント職になるしか、給与も存在価値も保証できない」と、職種の限界年齢と給与との連動性で説得するケースがあります。

 しかし、そのすべてに共通しているのは、法人に対する信頼感です。いくらリップサービスをしても、法人や経営陣に対する信頼感がなければ、「こんな法人で責任ある立場にはなりたくない」と考えるのは至極当然のことだと言えます。

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