超・長期経営顧問企業でコンサルタントがしてきたこと

私の中での定義として、一般の経営顧問の契約期間は10年です。しかし、10年を超えて12年、17年、20年、22年、25年の超長期経営顧問が5社あります。これは、毎月1~2回のコンサルティングで訪問しているので、25年ということは延、25年×12か月×2回=600回のコンサルティングをしてきたことになります。と言っても、経営会議や役員会が中心なので、コンサルティングの回数とは言えないですが。

本来の経営コンサルタントの経営顧問というのは、税理士の顧問と違い、ある程度年限が決まっています。1年契約とか3年契約とか。しかし、私の顧問の平均年数は8年位です。8年間は毎月コンサルティング料を頂いているので、当然、コンサルタント事務所としての収入が見える訳です。

安定した事務所経営の基本は、この固定収入であることは言うまでもありません。そこで、20年とか25年とかの超・長期経営顧問企業には、私は何をしてきたのか、その共通点はどこにあるのかを整理してみましょう。

だいたい、以下の5点をしてきたようです。

  1. 経営理念を一緒に作ってきた
  2. リストラ時に具体的に貢献した
  3. 親子仲裁をしてきた
  4. 時折、幹部勉強会を実施
  5. 飲みに行く回数は1年に2回程度
  6. 経営会議の司会と書記
  7. 経営計画書の毎年作成

今回は、1と2を紹介しましょう。

1、経営理念を一緒に作ってきた

経営理念は、経営者の「経営なんてきつい事ばかりなのに、何故やるのか」「経営者としての、目的やゴールは何か」などの「精神的な支柱」と言えるものです。それを、経営者の思いを一緒に議論し、一緒に言葉にし、一緒に守っていくのです。長年の顧問企業には、ほとんと経営理念づくりに関与しています。そして、その経営理念を社員にも分かるように「小冊子化」します。その小冊子のコンテンツはコンサルタントが作成します。経営理念という経営者の精神的な支柱に貢献したことが、単なるコンサルタント契約ではない、特別な関係になっているようです。

2、リストラ時に具体的に貢献した

長年やっていると、「経営の緊急事態」にも遭遇します。売上改善を待てない状況、これ以上の支出は倒産の憂き目に合う状態です。一般には「リストラ」と称し、厳しい経営改革、撤退縮小、賃下げ、解雇などを伴うこともあります。今、20年以上の顧問企業は大なり小なり、その経験があり、コンサルタントは「役員や幹部からは言いにくい事を経営者に進言」し、改革案を一緒に練って、黒子としてサポートして来ました。

時には、直接の特定の社員に対して「三行半」を経営者の代わりに言った事もあります。リストラのコンサルティングは経験が必要です。私もバブル崩壊後、1990年代の総量規制などの時、リストラのコンサルティングを数多く手がけました。そういう緊急事態を一緒に乗り切った同志という印象が経営者にはあるのでしょう。だから、続くと思われます。

3、親子仲裁をしてきた

長年の顧問企業には、事業承継期間が絡んできます。直接の親子であるがゆえに、感情的な反発が生まれ、意思疎通がうまくいかないことも多々あります。事が経営課題だけに、単なる親子喧嘩では済まされないので、何らかの仲裁や橋渡しが必要になりますその任を担うのが本来なら、相続や事業承継の支援をする税理士や会計事務所の筈です。ただ、彼らは一般的に財務面での意見は言えても、経営戦略面ではなかなか入り込めてないので、「総論」「一般論」の対応になっています。

しかし、コンサルタントは経営戦略や様々な経営課題の解決支援が専門なので、そういう面での仲裁や橋渡しはコンサルタントが担う訳です。親の意見、後継者の意見をバランスよく聴き、「どちらの意見が今の法人にとってベターか」で判断します。現実的には、現経営者と後継者の意見が分かれた場合、現経営者の意見が的外れでない限り尊重することが多いですが、時には、現経営者に対して、後継者の意見を採用するように促す事もあります。親子仲裁が可能なのは、親からも後継者からも信頼されることが条件となります。

4、時折、幹部勉強会を実施

普通の経営顧問は経営者とばかりに、時間を取ります。しかし、時には、幹部勉強会などで講義をして、幹部に対しての影響力を持った方が、事が上手く運びます。だから、私にクライアントでは、年に数回は幹部勉強会みたいな事を訪問時にします。又は、別途の研修提案で行うこともあります。そして、経営者の意向ばかりではなく、幹部の意向も吸収する場ないと、冷静さや現場とのズレが生じるので、そういう場を定期的に持つことです。

5、飲みに行く回数は年に2回程度

実は、これが結構大事なことではと思います。簡単に言うと、経営者と飲み行く回数が少ないということです。忘年会+1回位です。そうしないと、あまりいつも食事や飲む機会が多いと、だんだんお互いマンネリの関係になっていくし、コンサルタントと経営者との適切な距離感が壊れてしまうからです。我々は「経営者の軍師」という位置づけです。軍師がお酒を飲み過ぎて、良い崩れ、飲み屋の女性にちょっかい出したり、普通の取引関係ではありません。

また、多くの場合、経営者が食事代を持つことが多いです。だったらなおさらでしょう。私に長いクライアントととは、そんな感じで付き合っています。

6、経営会議の司会と書記

ある会計事務所職員がこんな事を言いました。「経営会議の指導をするのですが、3回位で尻切れトンボになります。会議の仕方を教えた後が続きません」と。これは「会議の仕方指導」をしているのであり、そういうものはあまり長続きしません。だいたい、会議の仕方なんて、ほぼ決まっているし、それを何回も言われても、マンネリになるだけです。

また、あるコンサルタントがこんなことを言いました。「議題検討時に、依頼に応じて指導したり、会議の最後にコメントしています。会議自体はクライアント主体なので、その内、なし崩し的に関係が希薄になっていきます」と。これは昔のコンサルタントがしていた「指導スタイル」です。高い顧問料を払っていて、ちょこちょこっとコメントして帰っているようでは、続くはずがありません。

「この経営会議の司会と書記」は、超・長期経営顧問企業のコンサルティングをする上での「鉄板技術」です。経営会議の司会即ち議長は、大きな権限があるから「決定事項」をだす事ができます。この議長が決定権者の社長や、または権限の全くない進行だけをする持ち回りかなんかでうまく機能するはずがありません。そこは第3者であり、物事を客観的に言える立場の「経営コンサルタント」が司会を行う事で議事が進むのです。更に「書記」は、後から議事録を回覧するのでは遅いのです。

その場で、5W2Hで具体的な決定事項を出さないと、会議生産性は上がりません。決定事項や保留、却下、審議継続をPCに入力し、それをプロジェクター投影やモニターに出して、皆がその内容を見て、判断していくのです。その画面を見ながら「これが決定事項でいいですか?担当は誰ですか?いつからどう実行しますか?」と司会であるコンサルタントは畳みかけていきます。こんな事を言えて、書けて、指導できるのがコンサルタントの「経営会議の司会と書記」なんです。そして、「先生が来てくれないと、経営会議もままなりません」と言われることは、ある意味的を射ているのです。

この話をしたら、あるベテランコンサルタントの方から「それはクライアントの自主性を奪っている。いつまで経ってもクライアントは独り立ちできない。コンサルタントの安定収入の為に、そう仕向けるのはいおかしい」と注意を受けたことがあります。あなたはどう考えますか?

7、経営計画書の毎年作成

決算時期を迎えたら、毎年経営計画書の作成支援をします。それは「計画経営のスタンダード」として、赤字だろうが黒字だろうが、経営者が交代しようが病欠しようが、当たり前のように続けます。しかも、経営者とだけで作成するのではなく、役員幹部にも部門方針目標を作成してもらい、責任を取ってもらって作成します。この経営計画書が必須なのは、経営者もコンサルタントも場当たり的な指導を極力なくす為です。年度目標とアクションプランがあれば、月次の経営会議のチェック項目が決まるので、そのモニタリングから入ります。

時に、経営者もコンサルタントもコンサルティングの流れの中で「ネタ切れ」「課題が見つからない」ときが発生します。その時、改めて経営計画書に記載されている事でまだ未実施の事や、やっていても成果のでてない事を再度、拾い上げる事で「空白のコンサルティング」はほぼ、撲滅できます。

この「経営計画書」の作り方、フレームと言うのは千差万別で、これが正しいというものはありません。ただ、方針や目標を羅列しているだけの「経営計画書」は、ほとんど期首に作成しただけで終わっている事が多いです。それは、その「経営計画書」にモニタリング機能や、進捗状況をチェックして記入できるシートなどがない為です。数字の予実績チェック以上に重要なのは、「アクションプラン」のモニタリングです。このアクションプランのモニタリングが経営会議や幹部会の議題となる訳です。だから、いずれにしても、経営計画書がないコンサルティングは、「片肺飛行」だと言わざるを得ません。

これまで3回に分けて、「超・長期経営顧問企業のコンサルティング」のポイントを7つにまとめて紹介してきました。目指すは、月1~2回のコンサルティングで、月間10~30万円が、10年以上続くプロセスを確立することです。

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