SWOT分析の視点 「強み」≠「良い点」

① 「良い点」とは、ビジネスに影響しない良い点

何も条件を言わず、経営者や後継者に「御社の【強み】を教えてください」と質問します。すると、ほとんどの方が「良い点」を言ってきます。「良い点」≠「強み」 という事を理解していない訳です。「良い点」とは、顧客や外部から「あなたの会社はこんな点が良いですね」と言われる事です。

例えば、「当社は接客に力を入れています。接客力は当社の【強み】です」 とある経営者が言いました。私は聞きました。「その接客力で具体的なニッチ市場やニッチカテゴリーの新規客を開拓できますか?」と。

すると、その経営者は「直接的にはニッチ開拓にはつながりませんが、評判とか、あの会社は信頼できるという評価を貰えますよ。だから【強み】です」と 。

残念ながら、これは【強み】にはなりません。その「強み」は、直接的な購買動機にならないからです。もっと言うなら、「接客もダメ、4S(整理・整頓・清潔・清掃)もダメだけど、この技術があるのは当社だけ」の方が、直接的な購買動機になる訳です。だから、「接客」とか「挨拶が良い」「事務所がキレイ」なんて事は「良い点」ではあるけれど、「強み」とは言えないのです。

② 「強み」とは、ビジネスに直結する「良い点」

「強み」は直接的な購買動機になる事だと言いました。しかも、全顧客ではなく、ある特定のニッチ市場やニッチカテゴリーの顧客に取って、購買動機に直結する事が「強み」という事ですね。「当社の社員は若くて元気がよく、挨拶もしっかりできています。これが【強み】ですね」と 言っても、それが直接的な購買動機にならないなら【強み】ではありません。

しかし逆に「当社の社員は高齢者が多くで、なかなか言う事も聞かず、チャレンジもしませんし、行動も遅いんです。顧客の担当も若いから、うちの年配の担当とはギャップがあるみたいで。それが【弱み】です」と言う会社があります。言葉尻だけをとらえれば、確かに【弱み】に聞こえなくはありません。

しかし、その企業の「ニッチ市場やニッチカテゴリー」では、休日時間外の対応が差別化になるとしたら、どうでしょう。若手は残業や休日労働を嫌がります。しかし、年配者は「別に良いよ。休みに家に居たってする事ないし」と言う方も多いでしょう。すると、休日対応、時間外対応ができるのは「年配従業員」が多いから、という事になります。結果的に「年配従業員が【強み】に早変わり」する訳です。

③ 「良い点」ではマーケティング戦略もビジョンも描けない

「良い点」は直接的な購買動機にはならないが、企業の評判や「見た目」では優位になります。ただ、「良い点」をいかに伸ばしても、今後のマーケティング戦略やビジョンが描けないのも事実です。後継者は「実のある【強み】」をどう作り上げるかに、知恵を出して欲しいと思います。「接客」「挨拶」「4S(整理・整頓・清潔・清掃)」などの基本動作のレベルアップは大事ですが、企業の盛衰を直接決めるファクターではありません。未来を決めるのは 「勝てるニッチ市場やニッチカテゴリー」に適合した、購買動機になる具体的な【強み】」です。

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