ビジョンのない組織には、ビジョンのない幹部が居座る

今日は「ビジョンがない組織」には「ビジョンがない人が集まる」と言うお話し。ビジョンとは将来的展望の意味で、将来にどういう希望を持つかと言う事です。

  組織にもこのビジョンが絶対必要です。それは、一生懸命に働く最大の動機付けにつながるからです。人間と言うのは、今が苦しくても、先々に夢や希望があれば、耐えることができますが、仮に今が良くても、未来に希望がなければ、モチベーションは落ちてしまいます。

 ビジョンの必要性は理解していても、昨今の経営環境の変化からビジョンを出しにくい組織も多いようです。例えば、病院や介護施設と言う組織では、度重なる医療報酬・介護報酬の削減で、将来もさらなる削減が予想されています。どんなに使命感を持って看護や介護の仕事をしても、減り続ける報酬はそのまま給与にも反映されます。また職員を増やす事もできず、同じメンバーで部下もできずに平均年齢だけ上昇していくと、やはり、モチベーションの維持は難しくなります。

 それでは、そういう組織ではビジョンはないのかと言えば、そんな事はありません。経営者や事務の責任者が知恵を絞り、戦略的に事業運営を検討すれば、何らかのビジョンは出てきます。ビジョンが出ないのは、今の状況だけで未来を考えるからです。私がお手伝いさせて頂いている介護施設では、「ビジョン」の中核に、『地域の施設から羨望される5つのNO1を実現する施設経営』と言う命題を挙げています。1つは「接遇NO1」、2つ目は「カイゼン成果NO1」、3つ目が「第3者評価NO1」、4つ目が「権限委譲NO1」、5つ目が「教育機会の経験NO1」としています。ビジョンは何も、小規模多機能型への展開、ケアつき住宅の展開などの、投資型のビジョンだけではないのです。そのビジョンが、職員にとってどれだけ、魅力的かが大事なのです。元来、ビジョンと言うものは、将来が見えなくても、『将来はこれを絶対やるんだ』と言う決意から生まれます。見える事だけでビジョンを考えるなら、正直何も難しくありません。

 経営者に『なんとしてでも、これをやり遂げたい』と言う熱望するビジョンがあるから、その迫力と熱意に社員は心を動かされ、このTOPについていこうと思います。そのTOPにビジョンがなければ、この労働流動化時代においては、早々と有能な社員から辞めていくでしょう。

 ある企業でこんな事がありました。その会社は設備業の業界で、官需に左右される典型的な下請け構造でした。社長は一から会社を興し、年商5億円の設備会社にしたのですが、官需の削減で業績が芳しくありません。そんな時に、他社から転職してきて3年になる中堅社員が、全体会議で社長へ提案しました。『社長、これからうちは、どういう方向へ進んでいくんですか?何らかのビジョンが欲しいです』と。

 すると、社長はこう答えました。『こんなご時世だから、どの設備屋も、先ずは食う為に今に一生懸命頑張るだけだ。将来はこうなると考えるレベルではない』と。これでは、会社の未来をまじめに考え、しっかり自己の将来設計を考える社員への答えではまりません。こればかりが理由ではないのですが、その社員は、それからしばらくして退職しました。

 確かに、業種的にビジョンを示すことは難しい場合もありますが、どんな業種でも将来においても、まったく打つべく手がないという事はありません。新事業の展開や、同業他社との提携や共同化、技術の深堀、技術を活かした新分野への進出など、いろいろあるはずです。

 先立つ資金がないというなら、そのビジネスプランを持って、助成金や融資依頼などの行動をしたのか、という事になります。しかし、そういう行動を、その社長はしてませんでした。簡単に言うと、『大変だ、大変だ』と言うだけで、未来への布石をしていなかったのです。これでは、先ほどの社員でなくても、将来が不安になるのも当たり前です。ところが、多くの社員は、そういう事に触れませんでした。それどころか、ある幹部は辞めていく社員にこういったそうです。『確かに厳しいけど、最後は社長が何とかするから、もう少し辛抱したらどうか。今は厳しいけど、また先には少し業界も良くなると思うよ』と。これを聞いた社員は、改めて『考えない経営者には、考えない幹部が育つ』と思ったそうです。もし、皆さんの会社で、ビジョンを示さない経営者がいたら、恐れずに『社長、ビジョンを作りましょう』と提案してください。恐らく、経営者もどの方向性が良いのか迷っているはずです。その経営者の迷いを払拭するのは、実は、社員の元気な後押しなのです。

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