【儲ける社長の戦略シリーズ】KPI経営で経営計画書をつくる

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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先日も顧問先の経営計画づくりで事業部別の具体策を議論していました。

この顧問先は事業部が3つと各事業部に営業、製造、技術開発(設計)があり、部門別の収支目標数値も細かく設定されています。

今期は社長と私との話で「KPI経営」の取り組みをする事を方針管理に上げています。

そこで、メイン事業部の常務取締役事業部長、営業本部長、技術部長、製造部長を社長室に集め、今期(新事業年度)のKPIの中身を確認しました。

1,KPIとKGIが混在しがち

例えばある商品のシェアが業績に大きく影響する場合があります。

高シェアはインストアシェア、ストアカバレッジ、ブランディング、利益率にもプラスになるからです。

するとついつい「KPIはA商品の全国シェア〇%、ブロックシェア〇%です」

と言いがちです。

しかし、シェアは「KGI(重要到達目標)」であり、これをKPIにすると行動プロセスが曖昧になります。

しかし、このクライアントはKGIとKPIの違いを理解しているので、シェアはKGIとし、そのシェアを高める為の各種具体策をKSF(重要成功要因)に設定しました。

もとより売上目標、粗利目標、経常利益目標は最終数値目標だから、KGIのもっと上の目標です。

また設計部門のKGIは「人時生産性10%アップ」だとします。

その為のKSFの主要要素を聞き出し、その行動プロセスが数値化できそうかをいろいろ確認します。

これはどの部門でも同じです。

ファシリテーションをするコンサル・税理士自身のKGI,KSF,KPIの概念が曖昧だと、議論が空回りします。

KGIとKPIを一般企業では混在しがちなので、ここではコンサルや税理士は良く話を聞いて、コントロールする必要があります。

 

2,KSFを絞らないとKPIは決まらない

KGIはもともと多少曖昧な数値指標になりがちです。

しかし、そのKGIに直結するKSFを超具体的な行動プロセスに落とし込まないと、KPIが決まりません。

KGIからKSFに落とし込む時の主要質問Wordがあります。それは

⑴KGIを達成する為の最優先課題又はボトルネックは何か?

⑵その最優先課題、ボトルネックが改善に動き出す時、どんな行動や結果のプロセスがあるか?

⑶その行動プロセスは、今はどれ位の量、%、個数、時間になっているか?

⑷その行動プロセスで今後改善に必要な数量、%、個数、時間はどんな目標にすればいいか?

⑸そのKPIは行動イメージがあるか?

こういう質問を繰り返し、KPIは行動プロセスの数値化であり、検証可能なものである事を相手に徹底して伝えます。

その時、KSFは複数上がっても良いですが、3つくらいに抑えましょう。

その3つは突破口作戦(この項目がよくなれば、他も付随してよくなる重要成功要因)になるレベルだと念を押します。

 

3,KPIが数値にならないケースの落とし込み方

実際の会議現場では、幹部がKSFについて定性目標ばかり話し、定量目標のKPIにつながりにくいケースがあります。

たとえば自助努力で完結するのではなく、顧客の都合、業者の都合などでKSFが変動し、この段階で明確なKPIを設定できない場合です。

また従業員の意識や風土改革などの属人的な要素をKSFにしようとすると、おそらくKPIへの落とし込みがフリーズします。

その時は、仕掛け、根回し、準備の期限設定がKPIになります。

「〇月〇日までに、○○を○○まで100%行う」

みたいな表現です。

これでも十分KPI監査モニタリングは出来ます。

 

4,KPIは部門長の人事評価に活用 

そしてこのKPIは行動量として数値化されるので、達成率が明確になります。

だから単なる経営計画書の部門目標に終わらせず、賞与評価の人事評価項目に追加すべきです。

個人KPI設定をしているレベルなら、個人の評価で活用し、個人KPIではなくチームKPI、部門KPI設定なら、チームリーダー、部門長の賞与評価に使います。

但し、KPIを賞与評価に入れる場合、KSF、KPIの理論的なものをしっかり幹部に教育した上で導入しないと、KGI,KSF,KPIのレベルがバラバラになり、これも不公平感になるので、慎重にする必要があります。

 

KPI経営は全部門の行動プロセス目標を数値化し、その結果をモニタリングしながら、「達成率」を高めていき、その結果収支にプラスの影響を与えるものです。

利益を上げたいなら、行動プロセス指標を改善させる経営管理。それがKPI経営と言えるものです。

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