考課者訓練だけではダメ、人事考課調整会議で評価能力を高める

SWOT分析、KPI監査、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

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先日、6年間支援している九州の病院の人事労務コンサルティングが千秋楽を迎えました。

当初は賃金システム改善、人事評価制度導入コンサル契約で1.5年程度の予定でしたが、先方の要望もあり、6年間も継続していました。

何故ここまで長くなったのか?

それは制度設計だけでなく、人事考課・職能等級評価を毎回個別に支援し、事務局や幹部が調整できる能力の定着まで支援したからです。

多くの人事労務コンサルタントは制度設計をして、フレームやツールを渡し、当初の考課者訓練を数回行うだけで、「後は自分たちで頑張れ」のケースが大半です。

しかし、人事評価制度は制度設計よりもその運用が大事で、多くの医療機関、社会福祉法人でも「仏作って魂入れず」の人事評価や賃金制度になっています。

そこで、私たちは制度設計後「人事考課調整会議」を行う事で、各部門責任者が勝手な基準で評価し評価のインフレ」や「昇給・賞与のインフレ」を防ぎ適正水準にしているのです。

ではどのように進めているか?

1,年2回の賞与用、人事評価と人事考課調整会議の実施

幹部と一緒に作成した「行動評価型人事考課表」に沿って、各部に責任者とNO2が合議の上、一次評価の個人ごと採点結果を事務局に出してもらいます。

それを受けて、夏期賞与前の5月、冬期賞与前の11月に「人事考課調整会議」を開催。

流れは、コンサルタントと事務局幹部(事務長や次長クラス)が中心になり、各責任者、NO2と部門別に調整会議に入ります。

例えば、10:00~12:00は病棟看護師の評価なら、看護部長、師長、副師長が参加。採点結果と特筆事項を確認し、「S、A、B⁺、B、B⁻、C、D」の判断をします。

当然のその結果次第で、賞与金額の%が変わってくるし、そのフィードバック面談で説明責任を師長や副師長に求めるので「明確な理由」を確認します。

特に「A、B⁺、B⁻、C」にするならその理由となる具体的な出来事を確認します。

また部下全員にフィードバック面談を求めているので、ある看護師がB評価なら次回、B⁺になってもらうには、何をどう変えるか、どう貢献するか」と固有名詞で言ってもらいます。

病棟看護の次は薬剤科、リハ科、放射線科、栄養科などの部門責任者を次々に会議室へ順番に呼んで行います。

その一連のファシリテーションを議事録への記入を当初はコンサルタントが行い、徐々に事務局にその対応を移管していきます。

その間、コンサルタントも事務局もずーっと会議室にいて、各部門責任者とNo2が入れ代わり立ち代わりきて「人事考課調整会議」を行っているのです。

それで数年かかるのです。

 

2,年1回の職能等級判定調整会議の実施

賃金制度導入時に、等級を設定しています。

導入時は貰っている基本給や基準内賃金をベースに「能力が高くても基本給が低い人は低等級から」「能力はいまいちだが長年いるか、無計画に基本給が高くなっている人は高等級から」始めています。

すると職種ごとに各等級の基準は職能要件書で細かく定義されており、該当等級に相応しい職能かどうか「取得率」を事前に幹部に採点してもらっています。

例えば看護師の2等級で必要職能項目が60項目あり、それら一つ一つに適応数の合算の個数を60で割ると取得率が出ます。

70%以上なら、「該当等級の職能を満たす」と定義しているので、昇格は基本滞留年数に沿って行います。

但し、年2回の人事考課で毎回B⁺やAがあれば、滞留年数期間を待たず臨時昇格をするのも、ここで決めます。

逆に該当等級の職能を満たさず、毎年指導をしているのに取得率が低い場合、さらに人事考課でもB⁻、Cがある場合は特定期間をもって降格を決めるのもこの会議です。

昇格も降格も説明責任を部門責任者には求めているので、彼女らも真剣です。

この職能評価は情意評価がなく、技能評価中心で行います。

半面、賞与用の人事考課は情意評価と行動貢献を中心に行います。

この職能等級判定調整会議を年1回することで、各幹部は部下の将来を考え、どう育成しマネジメントをするかを考えるのです。

だから部下の教育に責任意識が出てくるだと思います。

 

3,事務局に権限を持たせ、ルールに沿ってコントロール

これら一連の調整会議を最初の3年間はコンサルタント中心に行い、後半の3年間は事務局幹部や事務長が主導し、コンサルタントがサポートと議事録をとるという形で進めてきました。

制度を継続的な運用を行うには、昇給のバランス、賞与評価のバランスを事務局は考え、各部の責任者が「評価のインフレ」で提出しても冷静にコントロールする必要があります。

どんなに考課者訓練をしても「自分の部下を高い評価にして、もっと頑張ってもらいたい」と思う部門幹部がいます。

するとその部門だけ個人評価が突出します。

甘辛調整をしてもいいのですが、評価結果をフィードバック面談してもらう以上、評価インフレが多い部門責任者がうちの部下たちは評価が高いのに、甘辛調整で下げさせられた。根拠がわからない」と不平の温床になりかねない。

だから事務局が納得しないと昇格インフレや賞与インフレが起こらないように、権限を持ってもらうのです。

そのために人事考課調整会議を行いルールに沿って事務局の言う通りにしてもらいます。

また個別賃金では以前からの矛盾だらけの内容を個別調整してきた経緯もあるので、仮に評価が高くても「この人はもともと基本給が高いから、昇格は基準年数通りで行う」という声を事務局から出してもらうのも、この会議です。

 

文字だけではこの賃金システムや職能等級システム、行動評価型人事考課の内容や「人事考課調整会議」の雰囲気は伝わらないでしょうが、現場の責任者に判断責任とフィードバック責任を持たせる意味では、効果のある仕組みだと言えます。

 

 

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