嶋田利広ブログ

事業承継のコンサルティング

実際の経営承継可視化コンサルティングのドキュメント

この企業は地方で飲食店を4店舗経営しています。創業から50年を迎え、創業者が会長に、長男が社長に就任しました。この企業での承継後における重要事項は、

  1. 今後の経営ビジョンをどうするか
  2. 地域の人口減に対して、どんな収益モデルを作るか
  3. これまでの経営資源を活かして、どんな事業を多角化すべきか
  4. 後継者の社長をどのようの育成していくか

でした。

幸い、相続税対策はある程度できていたので、「非財産承継の分野」である

  • 経営戦略承継
  • 組織人事承継
  • 経営理念承継

に重点を置いて、プランの「可視化」を進めていきました。

1、先ず、5か年の事業戦略のコアを決める

既存の店舗での売上増が見込めない中、今後の経営戦略をどうするかを最初に議論しました。メイン戦略は、以前から議論していた「直販戦略」と「ケータリング戦略」でした。「直販戦略」は、既存の顧客名簿と、今後Web・SNS戦略で拡大する個人客に通販商品を販売していくものです(この直販商品を今、優先事項として仮説検証をしています)「ケータリング戦略」は、地方の高齢化と人口減で、配食ビジネスニーズをつかむという事です。法人客、個人客、法事需要、会食需要を取り込んでいく戦略です。

2、各店舗・各事業でSWOT分析を実施

コア戦略と既存の各店舗でSWOT分析を実施して、今後の営業戦略をプランニングしました。例えば、飲食店も うどん店と天ぷら店では、「外部環境」も「内部要因」も異なるので、それぞれ別々に実施。それを経営会議で上げて、皆で仮説の正当性を検証し、追加対策や一部戦略変更を議論しました。この各店舗のSWOT分析は長期というよりは、ここ2年をどうするかの対策を中心に確定しました。コア戦略は、まだ不透明ですがそれでも、責任者を中心にSWOT分析で、後発ながら需要を取り込む差別化戦略を決めました。こういう場合、SWOT分析が非常に妥当な議論を推進するツールになります。

3、戦略に沿って責任者確定と中期組織図作成

コア戦略である「ケータリング戦略」「直販戦略」が加わって、各店舗のビジネスプランが決まると、次は誰が責任者で、社長は何を兼務して、役員はどんな業務範囲を決めます。その時、「経営承継10か年カレンダー」では、年数と人の名前、大まかな職務範囲が記載されますが、ちょっと分かりにくい面があります。

そこで、現在の組織図とコア戦略と責任者の名前を入れた「中期組織図」を作成し、そこに名前と大体の役職も入れて作成しました。この「中期組織図」作成時は、会長と社長と私だけで議論しました。その後役員も入れて承諾と、追加修正意見を貰うという進め方です。

4、コア戦略と各店舗の5か年業績予定を議論

コア戦略と各店舗はSWOT分析の結果、どんなビジネスモデル、商品強化を議論しているので、それに沿って5か年のイメージを決めました。ある店舗は5か年で現在より10%マイナス成長。ある戦略は2年間で1000万円、5年間で1億円。などと、現実を期待を交錯させながら。数値を決めた結果、5年後のグループ売上は、既存店は10%マイナス、新規戦略分のみを上乗せして、1億円の増収計画となりました。

5、会長、社長と膝附合わせて「経営判断基準」作成

最後の作業が、「経営理念承継」である「経営判断基準づくり」でした。経営理念承継というと、単に心構え的な行動指針を「文書化」すると、思われがちですが、それだけではありません。一番大事な事は、これまで経営の各場面での失敗と成功を振り返り、どんな判断ミスがあったのか、成功したと時の背景や自分の行動はどうだったのか、を整理しながら社長が「迷ったとき、困ったときには、この経営判断基準を参考にして、意思決定をする」ための指針となるものです。

問題はこの経営判断基準はどんな目次になるかという事です。それは、各企業の事業範囲、経験などで決めますが、「こういう目次」だと言い取り決めはありません。

この企業の場合は飲食店でチェーンといいう事から、

  1. 新規出店時の基準
  2. 改装の基準
  3. 新業態の店舗を出す時の基準
  4. 仕入先変更、取引の基準
  5. メニュー開発の基準
  6. 社員採用・パート採用の基準
  7. 幹部昇格の基準
  8. 地域貢献、つながりの基準
  9. ロイヤルカスタマー(上得意客)への対応基準
  10. 海外イベント・出店時の基準
  11. 接客品質・教育の基準
  12. CK(セントラルキッチン)投資の基準
  13. メニュー値上げの基準

などをベースにしました。先ず会社の沿革や出来事から聴きだし、大体の目次を先にフレームに入れておいて、聴きだしながら、該当するフレームに記載していきました。

このようにして、約4カ月かけて、経営承継10か年カレンダーと、経営戦略、組織図、経営判断基準を作成しました。このカレンダーも組織図も、もしかしたら状況の変化で変わりますが、それでも明確な目標設定になったのは事実です。

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