嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

コンサルタントの経営顧問の仕事の中身

経営顧問と聞いて、どんなイメージがあるでしょうか。

  • 専門知識の先生として、相談されたらその都度教える(主に公認会計士や税理士)
  • 経験豊富な先輩として、若い経営者へ教える(社長経験者、大手の経験者が中小企業で顧問になる場合)
  • 日頃は何もないけど、問題が発生した時、優先的に相談で きる(弁護士など)

だいたいこんな感じでしょうか。では、経営コンサルタントが「経営顧問」になるとは、どんな事をすればいいのでしょうか。

1、経営会議・役員会でのスタンス

まず、最高意思決定機関の会議に参加する事です。だいたい経営会議とか役員会などです。毎月1回は開催されるので、確実に参加します。その経営会議に参加して、何をすべきか?

それは「決定事項を出す役割」に徹する事です。決定事項とは、いろいろ議論した事を「実施」「保留」「却下」などに分類し、その各決定事項の5W2H(だれが、いつまでに、何を、なぜ、どこで、どのように、いくらで)を決める事です。役員会などの上層部の会議では、これが意外に曖昧になることがあります。ましてや中小零細企業では、誰も5W2Hを言う人がいません。

だから経営顧問たるコンサルタントが言うのです。

2、決め切らない経営に対して、顧問が行う責任

会議とは、

会して 議し

議して 決し

決して 行い

行いて、その責をとる

の略語だと聞いた事があります。高給取りの方々が、雁首をそろえて「小田原評定」をしていては、コスト管理もあったものではありません。役員会・経営会議も「案件処理で決める」為にやっているのです。だから、議論ばかり錯綜して、ああでもないこうでもないと時間ばかり空費している場合、「この件は、誰がやるんですか?専務がしますか?で、いつやるんですか?何か条件が必要ではないですか?」と畳みかけるのが顧問の仕事だと思っています。(中堅規模の企業でも結構多いスタイル)

3、経営者が言いにくいことを、第3者として代弁する

独断ワンマン強面の経営者なら、遠慮なく煮え切らない各役員に「これは専務がやり給え」と指示もできるでしょう。指示された専務も「はい」というでしょう。しかし、民主的なマネジメントをしようとしている経営者、自分より経験が多い役員ばかりの後継者、年下の経営者、気弱な経営者などは、そんな圧力的な指示ができません。

すると、「やらねばならないが、いろいろあるから今はできないし、それは自分が言うべきでもないし」と、黙っている役員はそんな事を考えています。だから議論が停滞します。本当は、経営者も「この件、専務がすべきだが、多分抵抗するだろうな?」などと、経営者も遠慮がある場合もあります。

そんな時、顧問であるコンサルタントが「社長、この件は本来なら誰がした方が良いでしょうか?」と振るか、コンサルタント自身が「これは専務がいいんじゃないですか?」と振ることもあります。そうする事で、膠着した議論が復活します。

言われた専務が「いやいや今は時間がないですよ」とか「私ではなく、常務の方が・・・」と。すると、それに対して議論を深め、最終的な「決定事項」にもっていくのです。そうする事で、経営者の言いにくいことが進んでいきます。こういう事で経営顧問は、経営者から信任が厚くなる場合が多いですね。

4、飽きられるコメンテーター的なコンサルタントの顧問

ある大手経営コンサルタント会社のコンサルタントが経営会議に出ている現場を見たことがあります。そのコンサルタントは会議の冒頭と終わりにコメントを言うだけです。コンサルタントがしゃしゃり出るものではないと思っているのでしょうか?

別に経営会議で発言しなくても、

「事前の経営者面談や根回しているから良い」

「後から幹部会議で指導するから、今はお客さんで良い」

「専門用語の中身が分からないから、下手に聞くと議論の時間がかかるから黙っていよう」

とでも思っているのでしょうか?

いずれにしても、経営会議で「決定事項」を出すという使命がないと、「高いコンサルタント料を払って、コメントだけかよ」と陰口を叩かれます。

経営者がコンサルタントを重要視している間はいいですが、心変わりされると一斉に総スカンです。しかし、経営会議で「決定事項推進」をすると「この先生がいないと会議が進まない」と思われるので、超長期経営顧問になっていくのです。

 経営顧問収入は、コンサルタント会社にとっても安定収入であるし、長期に維持できている事は、コンサルタントの自信にもなります。適切な顧問数を確保し、維持する事が大事ですね。

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