「人が辞める」「人財流出」に悩む管理者が知らずに犯している間違い」
「このまま採用ができず、今の職員がまた辞めると言い出したら、うちの施設は実質事業継続が難しいです。もう介護品質も担保できない状況ですから」空前の売り手市場の中、採用が難しいのに、既存の職員が離職し、益々悪循環に至るケースが増えています。
冒頭の言葉の状態のままだと、事業継続も困難になる病院や介護施設も少なくありません。確かに労働市場環境は逆風下にあります。しかし、職員が辞めるというのは、労働市場だけの責任でしょうか?労働時間、賃金、通勤距離、病気ケガ、転勤、親の介護など、個人が仕事を続けづらい物理的な要因による退職はあります。
「辞める理由」は、今の組織にある
私は30年間の350社のコンサルティング経験で700名の管理者と個人面談や教育をしてきました。その中で、管理者のリーダーシップや面倒見、フォローの是非が原因での退職がたくさんあることを知っています。『退職理由の70~90%は、半径5m以内の人間関係』だという人もいます。また、それに具体的に対処しない管理者の責任と言うことも言えます。
「いやいや、辞めるのは個人資質もあるし、何でも管理職のせいにされちゃ、かなわないですよ。今の職員は組織の事より、自分の方が大事で、責任感がない人が多いから。」この弁明も傾向としては事実だと思います。それでも、辞めていく従業員の責任にしていては、今後も人財流出に歯止めが掛かる対策が打てません。そこは、マネジメントの見直しに言及しないわけにはいかないのです。
いったい『人財流出』が治まらない病院や介護施設の経営者や部門の管理者はどんな間違いを犯してしまったのか?代表的な間違いは、『コミュニケーション不足』です。SNS、指示命令、報告連絡、会議などコミュニケーション手段はしっかり取っていることと、意味が違います。ここでの「コミュニケーション不足」とは、従業員の声(声なき声)をじっくり聴いていないという意味です。
それも、従業員が言う言葉の背景や、そのことをどう思っているのか、どうしたいのか、何故そうしたいのか…
このコミュニケーションは「コーチング会話」と言われるものです。上司が話すことはコミュニケーションと思っているならそれは、片手落ちです。どちらかと言えば、従業員の思いを聴く時間が圧倒的に多く取る必要があります。難しいコーチング理論は置いといて、最低抑えるべきポイントを実行するだけで効果は絶大です。事実、私がコーチング研修をした多くの介護施設や企業では、その後管理者と職員の会話率が飛躍的に上昇したケースが多数発生しました。
『上司は指示命令し、部下が報告連絡すべし』と言う間違い?
上司は部下の報告連絡を待っていたのは昔の話。今は、上司から先に部下へ報告連絡し、その流れで部下の報告連絡を聴き、具体的な指示命令を行うのが、現代スタイルです。「この指示なら、これもやっているのが常識だろう」と気の利かない部下に文句を言っている管理者がいますが、その指示の目的や期待する成果まで詳しく行ってないのでは、部下の気が利かないのは当たり前と言うことです。
「頭を使え」「気を遣え」と文句を言い、「1つの指示で、5を悟れ」では通用しないのです。他にもいろいろ管理者は部下のマネジメントに間違いをしている可能性があります。特に部下の退職防止を図るには、それなりに学習をして、実践しなければなりません。もう「部下が悪い」では、益々窮地に追い込まれるのは、部下ではなく管理者や責任者です。
ある意味、管理者や責任者は、「部下に気持ちよく働いてもらう為に、必要なことをやる」のが仕事とも言えます。それだけ労務管理は喫緊の課題なのです。
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